DTMでは、曲のBPMやキー(調)を確認したい、参考曲のベースだけを聞きたい、録音の不要部分を切りたい、書き出した音源の音量を整えたい、といった小さな作業が何度も発生します。
すべてをDAWや有料プラグインだけで処理しなくても、ブラウザツールを使えば必要な作業だけをすばやく試せます。ここではタダオトの無料ツールを、DTMでの目的別にまとめます。
曲のBPMとキーを調べる
「BPM・キーを調べる」では、音源を読み込んでBPMとキーの候補を確認できます。耳コピ、リミックス、サンプル選び、DJミックスの準備に向いています。
解析結果は正解そのものではなく、耳で確認するための候補です。BPMは半分または2倍で表示される場合があり、転調を含む曲や短い音源ではキーが安定しないこともあります。詳しい使い方は「曲のBPMとキーを調べる方法」も参考にしてください。
参考曲をパートごとに聞く
「ステムスプリッター」は、完成した音源をボーカル、ドラム、ベース、その他のステムへ分けます。埋もれたベースライン、ドラムのパターン、コーラスの重なりなどを集中して聞きたいときに便利です。
AI分離には音の欠けやにじみがあるため、分離音を完成素材と考えず、耳コピやアレンジ(編曲)分析の補助に使います。
ベースラインをMIDIで可視化する
「ベースをMIDIに変換する」では、聞き取りにくい低音の動きをMIDIノートとして確認できます。耳コピを終えてから答え合わせをするのではなく、原曲を聞きながらMIDI表示も見て、候補音を絞る使い方が効果的です。
倍音やキックをベース音として拾うこともあるため、表示されたノートをそのまま採用せず、自分の楽器や鍵盤で鳴らして確認します。
テンポを変えて練習する
「テンポを変える」では、音程を保ちながら音源を遅くしたり速くしたりできます。速いフレーズをゆっくり聞く、難しい演奏を段階的に練習する、ループ素材を曲の速さへ近づけるといった用途に向いています。
「音程(ピッチ)を変える」は、長さを保ちながら半音単位で音程を移動します。半音下げチューニングの曲を標準チューニングで練習するときや、サンプルを曲のキーへ合わせるときに使えます。テンポとピッチは別の要素なので、目的に合わせて選びましょう。
長い録音から必要な部分を切り出す
「音源を好きな範囲で切り出す」では、波形を見ながら開始・終了位置を選び、必要な部分をWAVへ保存できます。楽器練習の区間、ボイスメモの鼻歌、環境音、ギターの良いテイクなどを短い素材にできます。
音の立ち上がりや余韻を切りすぎず、切り口には短いフェードを入れます。前後にある長い空白だけを自動で取りたい場合は、「音源の無音部分をカットする」が便利です。
音声ファイルの形式を変換する
「音声形式を変換する」では、WAV、MP3、M4A、FLAC、AIFFなどを用途に合う形式へ変換できます。DAWで編集を続けるならWAV、確認用に軽く共有するならMP3が基本です。
形式変換は元音源の音質を良くする処理ではありません。元ファイルを残し、編集用、公開用、共有用を分けて作ります。
録音ノイズと複数素材を整える
「声のノイズを減らす」は、エアコン、PCファン、ヒスなど一定して続く背景音を軽減したいときに使えます。強く処理すると声や楽器の質感も変わるため、完全な無音ではなく自然さを優先します。
複数の効果音、ボイス、楽器素材の前後、一定ノイズ、音量をまとめて整えたい場合は、「音声素材をまとめて整える」を使えます。素材のダイナミクスを壊さないよう、処理後は必ず試聴します。
自然に繰り返せるループを作る
「シームレスループを作る」は、BGMや環境音のつなぎ目をクロスフェードでなじませ、自然に繰り返せる音源を作るツールです。ゲーム、動画、配信などで長さの決まっていない背景音を用意するときに役立ちます。
目立つメロディや一度だけ鳴る効果音が含まれる区間は、繰り返しが分かりやすくなります。変化の少ない場所を選び、数回続けて試聴します。
完成した曲の音圧を整える
「音圧を整える」では、書き出したステレオ音源のラウドネスとピークを確認し、公開用の音量へ整えられます。これはミックスの問題をすべて直す処理ではありません。
ボーカルが聞こえない、低音が大きすぎる、クリッピングしているといった問題は、先にDAWのミックスへ戻って調整します。
ブラウザツールを使う前後の注意点
- 元ファイルを上書きせずコピーを処理する
- 各ページで対応形式、ファイル上限、処理内容を確認する
- 解析結果は耳で再確認する
- 市販曲から作ったステムや加工音源を無断で公開しない
- 処理後はイヤホンとスピーカーの両方で試聴する
ツールは判断を代行するものではなく、聞く、比べる、整える作業を短くする道具です。曲の仕上げへ進むときは、関連記事「DTMで曲を完成させて公開するまでのチェックリスト」も利用してください。
