クリッピングは、音声信号が機器やデジタル形式で表現できる上限を超え、波形の頂点が切り取られる現象です。特にデジタル出力では急な歪みや音割れとして聞こえやすく、意図しないクリッピングは録音・ミックス・書き出しの各段階で避けます。
デジタルクリッピング
固定小数点のデジタル音声では、表現できる最大値が0 dBFSです。それを超えようとしたサンプルは正しく保存できず、波形が平らに切れたようになります。一瞬のピークでも硬い歪みやクリックの原因になることがあります。
DAW内部と最終出力の違い
浮動小数点処理を使うDAWでは、途中のチャンネルが0 dBを超えても後段で下げれば保たれる場合があります。しかし録音入力、D/A変換、マスター出力、固定小数点ファイルでは上限を超えられません。最終出力のメーターを必ず確認します。
録音時のクリッピング
マイクや楽器を録る時点で入力回路やA/D変換がクリップすると、フェーダーを後から下げても歪みは消えません。演奏の最大音量を想定して入力ゲインを決め、ピークに余裕を残して録音します。
リミッターとの関係
リミッターは、クリッピングする前にピークを抑えるために使えます。ただし、すでにクリップして録音された波形を元通りにするものではありません。修復ソフトで目立ちにくくできる場合もありますが、失われた波形を完全には復元できません。
意図的な歪みとは分ける
クリッパーや歪みエフェクトで波形を意図的に変形させる表現もあります。この場合も、処理後の出力がさらに意図せずクリップしていないかは別に確認します。ゲインを前段から順に整え、レベルメーターの警告と耳の両方で判断します。
