ステムとは、複数のトラックを役割ごとにまとめて書き出したオーディオファイルです。たとえばドラム、ベース、ボーカル、その他の楽器という単位で分けます。各ステムを同時に再生すると、元のミックスに近い状態を再現できます。
マルチトラックとの違い
マルチトラックはキック、スネア、各ギター、各コーラスなど、録音・制作時の個別トラックを指します。ステムはそれらを用途に応じて数グループへまとめたサブミックスで、ファイル数を抑えながら後工程の調整幅を残します。
使われる場面
共同制作、映像向けの音量調整、ライブ再生、リミックス、ステムマスタリングなどで使います。ボーカルなし、ドラムなしといった別バージョンも作りやすく、納品後に一部のバランスだけを変更したい場合にも役立ちます。
書き出しの条件
すべてのステムは同じ開始位置・終了位置、サンプルレート、ビット深度で書き出します。先頭に無音があっても時間をそろえ、リバーブやディレイの余韻が切れない長さを確保します。合成時に過大入力にならないよう、マスターバス処理の扱いも事前に決めます。
受け渡し前の確認
ファイル名に曲名、パート名、BPM、バージョンを含めると管理しやすくなります。新規セッションへ全ファイルを読み込み、同じ位置から再生して、欠落・ずれ・クリッピングがないか確認します。
パート分離との違い
完成済みの2ミックスからAIなどでボーカルやドラムを推定抽出した音もステムと呼ばれることがありますが、制作時に個別トラックから書き出したステムとは精度が異なります。分離音には他パートの混入や人工的な音が残る場合があります。
