共同制作でDAWプロジェクトを渡す前に整理すること

音声、MIDI、ステム、設定を整理したプロジェクトが別の制作環境へ渡る画面

共同制作者へDAWプロジェクトを渡したとき、音源が見つからない、プラグインが開かない、開始位置がずれると、音楽の相談より復旧作業へ時間がかかります。送る前に、相手の環境で同じ音が再現できる範囲と、再現できなくても作業を続けられる代替ファイルを用意します。

元のプロジェクトを直接整理せず、まず複製を作ります。削除や統合を行っても制作中の状態へ戻れるようにします。

共有専用のコピーを作り素材を収集する

「曲名_日付_共有」のフォルダを作り、DAWの「プロジェクトへファイルをコピー」「すべての素材を収集」に相当する機能を使います。外付けSSDやダウンロードフォルダを参照したまま送らないようにします。

不要テイクを削除する場合も、共有コピー内だけで行います。プロジェクトを別の場所へ移して開き、素材の不足警告が出ないか確認します。

すべての音声を共通の開始位置へそろえる

オーディオを書き出す場合は、曲の先頭または同じ小節から始めます。途中だけ鳴るトラックにも前の無音を含めれば、相手はファイルを同じ位置へ置くだけで再構成できます。

曲頭にテンポ変更やカウントがある場合は、BPM、拍子、開始小節をメモします。必要ならクリック音も別ファイルで用意します。

MIDIと処理済みオーディオを両方残す

MIDIは音程やリズムを編集できますが、同じ音源がないと音色を再現できません。ソフト音源のトラックはMIDIファイルに加え、聞こえている音をオーディオへ書き出します。

ギターのアンプシミュレーターなら処理済み音とDI、ボーカルなら必要に応じてドライ音と確認用エフェクト音を分けます。どれが基準かファイル名へ明記します。

ステムと個別トラックの用途を分ける

ステムドラムベース、楽器、ボーカルのように複数トラックをまとめた音声です。全体バランスの確認や簡単な編集には便利ですが、細かなミックス修正には個別トラックが必要です。

相手が何を担当するかに合わせ、全体確認用ステムと編集対象の個別トラックを用意します。全トラックを無条件に渡すより、用途が分かる構成にします。

プラグインと音源の情報を一覧にする

使用した音源、アンプ、主要プラグイン、バージョン、プリセット名をメモします。相手が所有していない可能性があるものは、フリーズまたはレンダリングしたオーディオも添えます。

すべての設定を書き起こす必要はありません。音を再現するために必須のものと、置き換え可能なものを分けます。

サンプルレートとビット深度を統一する

プロジェクトのサンプルレートと書き出しファイルの設定をそろえます。共同制作中の受け渡しは、特別な指定がなければWAVなどの非圧縮形式を使い、ビット深度も相手と確認します。

異なる設定の素材を混ぜる場合は、どの段階で変換するか決めます。確認用MP3は便利ですが、編集用の原本とは分けます。

名前とフォルダで中身を説明する

「Audio」「MIDI」「Stems」「Reference」「Notes」のように分け、ファイル名は「Drums_ST」「Bass_DI」「Vocal_Dry」など短く一貫させます。「audio_1_final_new」のような名前は避けます。

曲名、BPM、キー、版番号、連絡事項を書いたテキストを最上位へ置き、どのファイルを聞けばよいか最初に示します。

送る前に受け手の手順で開き直す

共有フォルダだけを別の場所へコピーし、プロジェクトを開く、音声を空のDAWへ並べる、先頭から再生するという順で確認します。書き出しの基本は「WAVとMP3はどう選ぶ?DTMの書き出し設定入門」、納品前の確認は「BGMを納品する前のチェックリスト」も役立ちます。

共同制作では、完全に同じ環境を要求するより、編集可能なデータと確実に再生できる音声の両方を用意する方が安全です。

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