ミックスを始めるとすぐEQやコンプレッサーを挿したくなりますが、音量と左右の配置が決まっていない状態では、「処理が必要な問題」と「単に大きすぎる問題」を区別しにくくなります。まずゲイン、フェーダー、パン、ミュートだけで曲が成立する位置を作ります。
この動かない基本バランスを静的ミックスとして用意すると、後の処理目的が明確になります。
編集とトラック整理を先に終える
ノイズ、不要テイク、録音の空白、明らかなタイミングミスを整理し、トラック名と色を付けます。ドラム、ベース、ギター、鍵盤、ボーカルなどを並べ、同じ役割のトラックをまとめます。
編集途中の素材へミックス処理を重ねると、差し替えるたびに判断が変わります。
フェーダーを下げてヘッドルームを作る
すべてのトラックが0dB付近のままだと、重なったマスターがすぐ大きくなります。基準となるトラックを決め、他を下げてバランスを作ります。フェーダー位置を見栄えよく揃える必要はありません。
録音素材の大きさが極端に違う場合は、フェーダー前のクリップゲインやゲインでおおまかに整えます。マスターにはヘッドルームを残し、リミッターで押さえながら混ぜないようにします。
曲の主役から音量を決める
歌ものならボーカル、インストならメロディやリフなど、聞き手が追う音を決めます。次にリズムの土台、コード、装飾の順で加えます。
全トラックを最初から鳴らすより、主役とキック、ベースだけから始めると、必要な音量関係を判断しやすくなります。
パンで重なりを減らす
同じ音域のギターやコーラスを左右へ分けると、EQを大きく変えずに聞き分けやすくなります。キック、ベース、主ボーカルなど中心を支える音は、まず中央から試します。
左右へ広げること自体を目的にせず、片側だけが重くなっていないか、重要な音が端へ逃げていないかを確認します。
小さな音量で主役を確認する
再生音量を下げたとき、主役、リズム、コードの変化が分かるか聞きます。大音量では低域と高域が目立ち、バランスの問題を迫力で見逃しやすくなります。
音量を上げ下げしても、曲の中心が大きく入れ替わらない位置を探します。
ミュートして必要性を確かめる
聞こえにくいトラックを上げ続ける前に、一度ミュートします。消しても曲の印象が変わらないなら、音量ではなくアレンジや役割の問題かもしれません。似たトラックを減らすと、残した音が自然に見えることがあります。
処理が必要な理由をメモする
静的ミックスができた後、「ボーカルの語尾だけ小さい」「ベースの特定音だけ飛び出す」「ギターと鍵盤の中域が重なる」のように問題を書きます。そこからEQ、コンプレッサー、オートメーションを選びます。
ミックス全体の流れは「DTM初心者向け|ミックスは何から始める?」も参考にしてください。
