ヘッドルームは、現在の信号レベルから、機器やデジタル音声が扱える上限へ達するまでに残された余裕です。DAWでは、最も高いピークと0 dBFSの間の余裕を指すことが一般的です。後段の処理で音量が増えてもクリッピングしないための作業スペースになります。
デジタル音声の上限
固定小数点のデジタル音声では0 dBFSが記録できる最大値です。ピークが−6 dBFSなら、サンプルピーク基準では上限まで約6dBの余裕があります。ただしTrue Peakはサンプル間でさらに高くなる場合があるため、最終出力では両方を確認します。
なぜ余裕を残すのか
複数トラックを足す、EQで帯域を持ち上げる、コンプレッサーの出力を補うと、後段のレベルは上がります。早い段階から上限ぎりぎりにすると、設定変更のたびにクリップを直すことになります。
内部処理と入出力は分ける
DAWの浮動小数点演算では、途中のバスが0 dBFSを超えても後段で戻せる場合があります。それでも録音時のA/D変換、プラグインの想定入力、最終出力、固定小数点ファイルには上限があります。
ダイナミックレンジとの違い
ヘッドルームは現在のレベルより上に残る余裕です。ダイナミックレンジは、信号の小さい部分と大きい部分の幅です。出力を下げて余裕を作っても、強い圧縮で失われた音量差が戻るわけではありません。
固定値を正解にしない
「必ず−6 dBFS」のような値は目安で、録音、ミックス受け渡し、最終マスターで必要な余裕は異なります。提出先の指定を優先し、指定がなければピークを上限へ張り付かせないようにします。音圧調整ツールではピークとTrue Peakを確認できます。
