ベースラインの耳コピでは、低い音がキックと重なり、音程や細かなリズムを判断しにくいことがあります。音は聞こえているのに、どの高さなのか、どこで次の音へ移ったのかが曖昧になりやすいパートです。
このとき役立つのが、ベースをMIDIへ変換してピアノロールに表示する方法です。耳コピを終えてから答え合わせに使うのではなく、原曲を聴く作業とMIDIを見る作業を並走させます。
ベースラインが聞き取りにくい理由
低音は再生機器によって聞こえ方が変わりやすく、キックや低いシンセとも重なります。短い経過音、スライド、ゴーストノートは、フルミックスの中で輪郭が隠れることもあります。
さらに、同じ音名でも1オクターブ違う音を選んでしまうことがあります。耳だけで何度も迷うより、音程の候補を画面に出してから重点的に聴く方が効率的です。
MIDIにすると音の動きを可視化できる
MIDIノートは、縦方向が音の高さ、横方向が時間と音の長さを表します。ピアノロールを見ると、同じ音を繰り返しているのか、階段状に上がっているのか、大きく跳躍しているのかを視覚的に確認できます。
休符の位置、音の長短、同じフレーズの反復も見つけやすくなります。耳では一続きに聞こえたフレーズが、実際には短い音の組み合わせだったと気付くこともあります。
耳とMIDIを同時に使って確認する
原曲を再生しながら、同じ位置のMIDIノートをピアノロールで追います。気になる音があれば、その前後を短くループし、MIDIが示す音を鍵盤やソフトウェア音源で鳴らして比べます。
- 音程が曖昧な場所は、MIDIが示す候補音を鳴らしながら原曲を聴く
- リズムが曖昧な場所は、ノートの開始位置と休符を見る
- 長い音は、次の音へ移る瞬間を原曲とMIDIの両方で確認する
- 繰り返しフレーズは、2回目以降に変化していないか聴き直す
「まず耳コピし、その後MIDIで採点する」という順番ではありません。耳で拾える部分を入力し、MIDIの候補から次に聴く場所を決め、また原曲へ戻るという往復で進めます。
タダオトでベースをMIDIに変換する
「ベースをMIDIに変換」ツールへ音源を読み込むと、フルミックスからベースを分離してMIDI化できます。すでにベースだけのステムがある場合は、分離を省略して変換することもできます。
BPMを入力しておくと、DAWへMIDIを読み込んだときに小節や拍へ合わせやすくなります。BPMが分からない場合は、先にBPM・キーを調べるツールで候補を確認できます。
変換されたMIDIは完成した譜面ではない
AIによる変換では、倍音を別の音程として検出する、短い音を取りこぼす、スライドを細かなノートへ分けるといった誤差が起こります。表示されたすべてのノートを正解として打ち直す必要はありません。
不自然に高いノート、極端に短いノート、同時に重なった音は、原曲を聴きながら整理します。クオンタイズも強くかけすぎず、演奏の前後感を残しましょう。
DAWでは見やすい音色に置き換える
取り込んだMIDIを、輪郭の分かりやすいピアノやシンプルなベース音源で鳴らすと比較しやすくなります。原曲とMIDI音源を交互に聴くだけでなく、小さな音量で同時に鳴らし、音程がぶつかっていないか確認する方法もあります。
ベロシティやノートの長さは、元演奏のニュアンスを完全には再現しません。最終的には耳でアタック、音価、休符を整えます。
MIDIは耳コピを置き換えるものではない
MIDI表示の役割は、聞き取りにくい低音へ視覚的な手がかりを加えることです。耳と画面のどちらか一方へ頼るのではなく、互いの曖昧な部分を補い合うことで、ベースラインの理解が早くなります。
変換したデータの権利は元音源に準じます。権利のある曲から作ったMIDIを公開・配布せず、耳コピや分析など適切な範囲で利用してください。
