参考曲を聴いても、ドラム、ベース、ボーカル、コード楽器が重なり、目当ての音を追えないことがあります。特に低音や小さな装飾音は、フルミックスの中では別の音に隠れやすい部分です。
そのようなときは、曲をパート別のステムへ分けて聴くと、耳コピだけでなくアレンジ(編曲)やミックスの分析にも役立ちます。
ステム分離とは
ステム分離は、完成した2ミックスの音源から、ドラム、ベース、ボーカル、その他の楽器などを推定して分ける処理です。元のマルチトラックへ戻すわけではありませんが、各パートの輪郭を聴きやすくできます。
分離した音だけを単独で聴き、その後で原曲へ戻ると、フルミックスの中で同じ音を追いやすくなります。
耳コピでは原曲と分離音を行き来する
分離音だけを正解として書き取るのではなく、原曲と交互に再生します。ドラムではキックとスネアの位置、ベースでは音程と休符、ボーカルでは主旋律とハモリを確認します。
最初は1〜2小節の短い範囲を繰り返し、聞こえたリズムをDAWへ入力します。その後、原曲の中で鳴らして違和感がないか確かめます。リズムは音が鳴る位置だけでなく、音が止まる位置も重要です。
アレンジではパートの出入りを見る
参考曲の魅力は、使われている音色だけでなく、各パートがいつ登場し、いつ休むかにもあります。イントロではベースが入っていない、サビ直前だけドラムが止まる、2番ではコード楽器の音域が変わる、といった出入りを記録します。
DAWのマーカーへセクションを書き、ドラム、ベース、ボーカル、その他の4行で鳴っている場所をメモすると、曲の展開を視覚化できます。
ミックスでは音域と残響を聴く
ベースステムを聴くと低域の量や音の長さ、ドラムステムを聴くとキックの重さやルーム感を確認しやすくなります。ボーカルではリバーブやディレイがどの程度付いているかも参考になります。
ただし、分離処理によって残響やほかのパートが混ざることがあります。分離音の音質をそのまま再現するのではなく、原曲の中で担っている役割を読み取りましょう。
タダオトで音源をパート分離する
「音源パート分離ツール」では、音源をドラムとそれ以外の2ステム、またはドラム・ベース・ボーカル・その他の4ステムへ分けられます。音声処理はブラウザ内で行われ、結果をWAVで保存できます。
初回はAIモデルの読み込みがあり、曲の長さやパソコン性能によって処理に時間がかかります。耳コピやアレンジ分析では、まず確認したい部分を含む短い音源で試すのもよいでしょう。
分離音には誤差やにじみがある
同じ音域で鳴るキックとベース、深いリバーブが付いたボーカル、歪んだギターなどは完全に分かれない場合があります。音が欠けて聞こえたり、別のステムへ混ざったりするのは分離処理の性質です。
分離音は譜面やマルチトラックの代わりではなく、「どこを集中して聴くか」を助ける補助線として使います。
権利のある音源の扱いに注意する
市販曲などを分析する場合、分離した音源を公開・配布したり、自分の素材として再利用したりしないよう注意が必要です。権利を持つ音源や、利用条件の範囲内にある音源を使用してください。
参考曲を細部までコピーすることが目的ではありません。パートの役割や展開の作り方を学び、自分の曲へ別の形で応用するために利用しましょう。
