ハイパスフィルター(HPF)は、設定した周波数より高い成分を通し、低い成分を減らすフィルターです。ローカット、Low Cutと呼ばれることもあります。ボーカルやギター、シンバルなどに不要な低域の揺れや振動が含まれると、ミックスの余裕を圧迫します。必要な低域まで削らないように、曲の中で聴きながら使います。
何を通して何を減らすか
ハイパスはカットオフ周波数より上を通し、下を徐々に減衰させます。低域を完全に境目で切るのではなく、傾きに沿って減ります。傾きはdB/octで表され、急な設定ほど作用も強くなります。周波数と傾きの両方が聞こえ方を決めます。
よく使う目的
マイクの足音、空調、机の振動、近接効果による過剰な低域などを整えるために使います。低域が不要なパッドや効果音を整理すると、キックやベースの場所を確保しやすくなります。ただし「全トラックへ同じ設定」が正解ではありません。
カットオフは耳で決める
周波数を上げながら、音の芯や厚みが失われ始める位置を探し、必要なところまで戻します。ソロで極端に薄く聞こえても、曲の中では適切なことがあります。反対にソロだけで判断すると、他の楽器と重なった低域を見落とします。
位相と傾きに注意
急なフィルターは不要な低域を減らせますが、カットオフ周辺の音色や位相へ影響することがあります。複数マイクの素材、低域が重要な楽器、マスター出力では特に慎重に比較します。オン/オフを同じ音量で切り替え、曲全体で判断します。
EQとのつながり
ハイパスはEQの代表的なフィルター形状です。不要な低域を整理してから、必要ならピークEQやシェルフEQで音色を調整します。まずは目的を決めて最小限に使うのが基本です。EQ全体の役割は、EQの記事で解説しています。
