曲を歌いやすい高さへ変えたいときと、速いフレーズをゆっくり練習したいときでは、必要な処理が異なります。前者はキー・ピッチの変更、後者はテンポの変更です。
音の高さと曲の速さは別の軸ですが、再生速度を変えるだけの機能では両方が同時に変わる場合があります。何を保ち、何を変えたいのかを先に決めましょう。
キー変更は音の高さを動かす
キー変更では、曲の長さとテンポをなるべく保ちながら、音源全体を半音単位で高く、または低くします。ボーカル曲を自分の声域へ合わせる、サンプル素材を曲のキー(調)へ合わせる、楽器のチューニングに合わせるといった用途があります。
たとえばCメジャーの曲を2半音上げると、全体はDメジャー相当になります。メロディだけでなく、コード、ベース、ドラムの音程成分も一緒に移動します。
テンポ変更は曲の速さを動かす
テンポ変更では、音程をなるべく保ったまま再生時間とBPMを変えます。速いギターソロをゆっくり聴く、ダンス曲を別のBPMへ合わせる、動画の尺へ少し近づけるといった使い方ができます。
100%から80%へ遅くすると曲は長くなり、120%へ速くすると短くなります。音程は同じでも、アタックや残響の聞こえ方は変化します。
再生速度変更では両方が変わることがある
レコードの回転数を変えるような単純な速度変更では、速くすると音程も高くなり、遅くすると低くなります。DAWではVarispeedなどの名称で、あえてこの効果を使う場合もあります。
一方、タイムストレッチやピッチシフトの処理は、高さと速さを分離して変更します。設定画面で「テンポを維持」「ピッチを維持」といった項目を確認してください。
耳コピや楽器練習での使い分け
- フレーズが速くて音を追えない:テンポを遅くする
- 低すぎる・高すぎる音を演奏しやすくする:キーを変える
- チューニングが半音下げの曲を標準チューニングで練習する:1半音上げる
- 原曲とDAWのグリッドを合わせる:BPMを調べてテンポを合わせる
耳コピでは、まずテンポを70〜90%程度に下げ、音程を保ったまま細部を確認する方法が使いやすいです。下げすぎると音が伸びてリズムの感触が変わるため、必要な範囲だけ遅くします。
タダオトでキーとテンポを別々に変える
「音程(ピッチ)を変える」ツールでは、テンポを保ったまま±12半音の範囲で音源の高さを変更できます。まずは±1〜3半音で試聴すると、音質変化を抑えやすくなります。
「テンポを変える」ツールでは、音程を保ったまま曲の速さを50〜200%へ変更できます。楽器練習なら70〜90%程度から始めると、フレーズの流れを残しながら聴き取りやすくできます。
元のBPMやキーが分からない場合は、先にBPM・キーを調べるツールで候補を確認できます。
大きな変更ほど音質への影響が増える
ピッチを大きく動かすと、声の質感や楽器のアタックが不自然になりやすくなります。テンポも極端に遅く、または速くすると、音の粒立ちや残響が変化します。
練習や分析用なら多少の変化を許容できますが、公開するリミックスや完成音源では短いプレビューを何度か聴き、原音の魅力が残っているか確認しましょう。
目的から変更する項目を選ぶ
高さを合わせたいならキー変更、速さを合わせたいならテンポ変更です。両方を変える必要がある場合も、一度に大きく加工せず、BPMと半音数をそれぞれ確認しながら調整します。
解析から始める詳しい流れは、関連記事「曲のBPMとキーを調べる方法」も参考にしてください。
