ボーカル録音で声がこもる、低音が膨らむ、「パ」「バ」で風が当たる、部屋の響きが遠く聞こえる。こうした問題は、EQを使う前にマイクとの距離と角度を少し変えるだけで改善することがあります。
マイクに近ければ高音質、離れれば自然という単純な関係ではありません。声量、部屋、マイクの種類に合わせて、安定して同じ位置で歌える距離を探します。
最初は口から15〜20cm程度で試す
マイクの正面へポップガードを置き、口から15〜20cm程度を出発点にします。小さな声では少し近く、大きな声では少し離すことがありますが、フレーズごとに大きく動くと音色と音量が不安定になります。
床へ位置を印す、マイクスタンドと椅子を固定するなど、同じテイク内で距離を保てる工夫をします。
近すぎると低域と息が強くなる
指向性マイクへ近づくと低域が強くなることがあり、声が太くなる一方、こもりやすくなります。「パ」「バ」の破裂音や口のノイズも入りやすく、少しの体の動きで音量が大きく変わります。
低域をEQで大きく削る前に、数cm離すか、マイクを口の真正面から少し上または横へずらします。
ポップガードは距離を保つ目印にもなる
ポップガードは息がマイクへ直接当たるのを減らし、歌い手が近づきすぎるのを防ぎます。マイクへ密着させず、マイクと口の間に空間を作ります。
破裂音が残る場合は、ガードを増やすだけでなく、息がカプセルの中心を外れる角度を試します。
離れすぎると部屋の反射音が増える
マイクから離れるほど直接の声が小さくなり、壁、机、天井から返る音の割合が増えます。録音後にコンプレッサーで持ち上げると、部屋鳴りやノイズフロアも目立ちます。
吸音材がなくても、硬い壁や窓から位置を変える、カーテンや衣類の近くを使う、机の反射を避けることで改善できる場合があります。
コンデンサーとダイナミックで距離を試す
コンデンサーマイクは細かな息や部屋の響きまで拾いやすく、静かな環境と安定した距離が重要です。ダイナミックマイクは近めで使うことが多いものの、近づきすぎによる低域の増加には注意します。
種類だけで決めず、同じフレーズを距離と角度を変えて録り、伴奏の中で比較します。
録音レベルは最も大きな声で確認する
距離を決めた後、サビの強い声で入力ゲインを調整します。歌いながら距離を変えてピークを避けるのではなく、姿勢を保ってもクリップしない余裕を作ります。
具体的なメーター設定は「録音レベルの決め方」、録音前の全体準備は「DTMでボーカルを録音する前に確認したいこと」も参考にしてください。
短いテスト録音を伴奏と一緒に聞く
ソロでは少し低域が少なく感じても、伴奏では言葉が明瞭になることがあります。距離、角度、ゲインをメモし、同じフレーズを3種類程度だけ録って比較します。録音後のノイズ対策は「自宅録音のノイズを減らす方法」へ続きます。
