自宅でボーカルやナレーションを録音すると、エアコン、PCファン、外の車、機器のヒスなどが一緒に入ることがあります。録音後のノイズ除去は便利ですが、最初から小さく録れたノイズほど自然に処理できます。
まず録音環境と入力設定を整え、それでも残った一定のノイズを後処理で減らす順番がおすすめです。
最初に部屋の音を確認する
録音を始める前に10秒ほど無言で録り、ヘッドホンで音量を上げて聴きます。エアコン、換気扇、冷蔵庫、PCファン、屋外の音、机から伝わる振動など、原因を一つずつ探します。
録音に常に含まれる背景音の高さをノイズフロアと呼びます。完全な無音を目指すより、声や楽器に対して十分小さくすることが重要です。
音源とマイクの距離を見直す
マイクを声へ近づけると、同じ入力ゲインでも声を大きく収録でき、相対的に部屋の音を小さくできます。ただし近すぎると、息や破裂音、低音の強調が目立ちます。
ボーカルやナレーションでは、マイクの正面から少し角度を外し、ポップガードを使うと息の直撃を避けやすくなります。机の振動にはスタンドやショックマウントが有効です。
ゲインを上げすぎない
オーディオインターフェイスのゲインを上げすぎると、機器のノイズも目立ちやすくなります。一方で小さすぎる録音を後から大幅に持ち上げても、背景ノイズが一緒に大きくなります。
もっとも大きい声や演奏でもクリッピングしない範囲で、安定して波形が見えるように調整します。短いテスト録音を再生し、無音時と発音時の差を確認しましょう。
録音中だけ止められる機器を止める
エアコンや空気清浄機を一時的に止める、ノートPCをマイクから離す、外が静かな時間を選ぶなど、原因そのものを減らす方が後処理より効果的です。
ただし室温や機器の安全を優先し、長時間無理に止めないようにします。数フレーズずつ録る方法でもノイズを避けられます。
タダオトで一定の背景ノイズを減らす
「声のノイズを減らす」ツールでは、空調音、PCファン、ヒス、低い振動音など、継続して鳴る背景ノイズを抑えられます。処理の強さは、声の質感を優先する設定から強めの設定まで選べます。
処理前後を試聴し、子音や声の余韻が薄くなっていないか確認します。ノイズを完全に消そうとして強く処理すると、水中のような音や金属的な揺れが出ることがあります。
BGMや人混みは別の処理が必要
ノイズ低減は一定の背景音を抑えるのが得意です。すでにBGMと声が混ざった録音や、人混みから話し声を取り出したい場合は、話し声だけを取り出すツールのようなAI分離が向いています。
強い部屋鳴り、複数人の声、音割れした録音は完全に修復できないことがあります。録音前の対策と使い分けましょう。
ノイズを減らした後も無音にしすぎない
フレーズの間だけ完全な無音になると、部屋の空気が急に消え、編集点が目立つことがあります。必要に応じて短いフェードを入れ、自然な背景音を少し残します。
録音準備全体については、関連記事「DTMでボーカルを録音する前に確認したいこと」も参考にしてください。良いノイズ処理は、録音の魅力を変えず、気になる背景だけを控えめにする処理です。
