ローファイな音というと、レコードノイズを加えた音を想像しやすいですが、ノイズだけで質感が決まるわけではありません。高域の少なさ、穏やかな歪み、デジタルの粗さ、テープのような揺れを組み合わせて作ります。
すべてを強くかけると音が壊れてしまいます。元の音源に必要な要素を一つずつ足し、原音と比較しながら調整しましょう。
ローパスフィルターで高域を丸める
ローパスフィルターは、設定したカットオフ周波数より上の高域を減らします。耳に刺さる成分や現代的な明るさを抑えると、古い録音や小さなスピーカーのような落ち着いた印象になります。
下げすぎるとボーカルの子音やドラムのアタックが失われます。曲全体ではなく、サンプル、ドラム、コードだけへ使う方法もあります。
サチュレーションで密度と丸みを加える
サチュレーションは、穏やかな歪みと倍音を加えて音を太くします。強いディストーションより控えめで、ピークを丸めながら前へ出す効果があります。
コンプレッサーとは仕組みが異なりますが、結果として音量差が穏やかに感じられる場合があります。出力音量を合わせ、単に大きくなった効果と区別します。
ビットクラッシュとサンプルレート低下で粗くする
ビット深度を下げるビットクラッシュは、音量の細かさを粗くし、ざらついたデジタル歪みを作ります。サンプルレートを下げる処理は、高域に折り返し感や荒い質感を加えます。
ドラムや短いワンショットでは効果が分かりやすい一方、完成曲全体へ強く使うと耳が疲れやすくなります。
ワウ・フラッターで音程をわずかに揺らす
テープやレコードの回転が完全に一定でないと、音程がゆっくり、または細かく揺れます。ゆっくりした揺れをワウ、速い揺れをフラッターと呼びます。
コード、パッド、ピアノへ少量使うと古い機器のような不安定さが生まれます。ベースやキックへ強く使うと、曲の中心音程や低音が不安定になります。
ヴァイナルノイズとテープヒスは最後に足す
レコードのパチパチ音やテープヒスは、ローファイ感を分かりやすく伝えます。ただし、常に大きく鳴らすと音楽よりノイズが主役になります。
曲の静かな部分で少し聞こえる程度から始めます。録音時に入った不要なノイズフロアと、演出として加えるノイズは目的が異なります。
タダオトでローファイ加工を試す
「音源をローファイにする」ツールでは、ナチュラル、やわらかい、ダーク、こもった感じ、サンプラー風のプリセットを試聴できます。プリセットを入口に、ローパス、サチュレーション、ビットクラッシュ、サンプルレート低下、揺れ、ヴァイナルノイズ、テープヒスを個別に調整できます。
原音との比較を切り替えながら試聴し、現在の設定を16bitのWAVとして作成できます。初期プリセットではヴァイナルノイズとテープヒスを加えず、音色の暗さや粗さを中心に変化させます。
処理の順番と量をシンプルにする
- ローパスで高域の明るさを決める
- サチュレーションで密度を加える
- 必要ならビットクラッシュやサンプルレート低下を少量使う
- 音程の揺れを加える
- 最後にノイズを足す
- 出力音量を原音へ近づけて比較する
ローファイは音質を悪くする作業ではなく、聞かせたい雰囲気に合わせて情報量と質感を選ぶ作業です。プラグインとエフェクトの基本は、関連記事「ソフトウェア音源・プラグイン・エフェクトの違い」も参考にしてください。
