レコーディングをするにあたり「プリプロ」という作業を行うことが多いのですが、そもそもプリプロとはどういうもので、どういう手順で進めたらいいでしょうか。
僕なりのプリプロの進め方についてご紹介します。
なぜプリプロをする必要があるのか
「プリプロ」というのはレコーディング前に行う準備作業の事。
最近ではメンバー全員DAWソフト触れるような環境ですし、レコーディング本番に限りなく近いデータを揃えることをプリプロと呼ぶことが多くなってきましたが、リハーサルスタジオにレコーダーを立てて一発録りしたものを確認するのでもプリプロの目的を果たしていれば問題ありません。
このプリプロがなぜ必要かというと、「レコーディング本番でミスをしないため」です。ものすごくシンプルな理由です。
スタジオで合わせてる最中はばっちりだと思っていても、他のパートの細かいところをしっかり聴き取れていない場合があります。リズムのずれやコードの解釈違いなど、客観的に聴くことで初めて分かることって多いんですよ。
各パートの細かいところをしっかり聴き分けるためには、DAWソフトにずらっと本番を想定したトラックを並べてひたすら聴くという作業が重要なんですよ。
これにより、レコーディング時間は短縮し、レコーディングのやり直しをするリスクも下げられ、予算もおさえることができます。
レコーディングスタジオに入って数時間経った後にメンバー間での意見がぶつかったりするようなことがないように、時間が許す限りプリプロはしっかり行いましょう。
プリプロの大まかな手順
では具体的にプリプロはどのように進めて行くのが良いでしょうか。
僕のバンド「アマオト」でのプリプロを例に、進め方についてご紹介します。バンドもののプリプロをする場合には参考になると思います。
ライブで全員が問題なく演奏できるレベルで作りこまれている楽曲のプリプロを行うという前提で話を進めますね。アレンジがきちんと出来上がってなければ、まずは楽曲をスタジオで完成させることから始めてください。
ドラム録音用の下準備をする
僕はリズムトラックからそろえていきたい派なので、まずドラムを録りたいところですが、ドラマーに何の準備もなしに「はい!叩いてー!」と言ってもなかなか難しいんですよね。
というわけで、ドラムを録音しやすい環境を作ります。
ドラマーの好みにもよりますが、現在どのあたりなのかが分かるように「仮歌・コードが分かりやすい上物の楽器・ベース」あたりがあると良いでしょう。いずれかだけでも大丈夫であれば、例えばギターでコード弾きだけ入れておくとか、ピアノでコードだけ並べるという形でも良いと思います。
それと別のトラックにクリックを入れておきましょう。僕はドラム音源を立ち上げてカウベルを鳴らすようにしてます。DAWソフトのクリックが聞き取りにくかったりするんですよね。
リハーサルスタジオでドラムをざっくり録音する
準備ができたらリハーサルスタジオを予約し、ドラムを録音しましょう。
先ほどの準備段階も含めて下記の記事で詳しく紹介してますので、こちらを参照してみてください。
宅録で各パートを揃える
プリプロの最終段階は「本チャンレコーディングで必要なトラックを揃える」ところだと考えているので、ドラム以外のトラックを揃えて行きます。
アマオトでは僕とベースがLogicユーザーなので、僕が作ったプロジェクトファイルをベースに渡してベースを録ってもらうことが簡単にできます。
メンバー間で使ってるDAWソフトが違った場合はざっくりミックスしたものをバウンスして渡し、担当パートを録ってもらったらパラデータを送ってもらいましょう。アマオトの場合はボーカルがiPhoneのガレージバンドで仮歌を録ってくれたりしてますので、パソコンじゃなくてもプリプロレベルであれば問題ないと思います。
僕はギタリストなのでギターは僕が全パート揃えます。また、コーラスパートも僕が用意しています。ピアノもざっくり版を僕が入れてたりします。このあたりはバンドごとの各メンバーの担当に応じて作業を進めましょう。
全員で聴く
最後に出来上がった音源を全員で聴いて、あら探しをしましょう。レコーディングにこのまま入れるかどうかを入念にチェックします。
もし問題があればGoogleスプレッドシートなどにまとめておくと分かりやすいと思います。
最後に
実は僕自身これまでのレコーディングでプリプロをさくっと済ませてしまっていて、レコーディング当日になって「こここうやって叩いてるのか」とか「ここのコードだとこの音ぶつかってたな」と気づくことがありました。
このリスクを避けるために、プリプロは入念に進めた方が良いですよ。